AIの進化やビックデータの活用など、社会情勢が大きく変化していることを受け、新学習指導要領では「情報Ⅰ」が必修となりました。それにともない、2025年の大学入学共通テストから「情報Ⅰ」が科目として導入されることが発表されています。
しかし、今まで全く出題されていなかったジャンルであるため、受験生にとって不安が多いのではないでしょうか。今回は「情報Ⅰ」がどのような科目なのか、大学入学共通テストや個別試験でどう扱われるのかなどを中心に徹底解説します。
「情報Ⅰ」は全員必修の科目
平成30(2018)年7月に公表された高等学校学習指導要領で「情報Ⅰ」の新設の方針が示されました。指導要領で示された目標は以下のとおりです。
- 効果的なコミュニケーションの実現,コンピュータやデータの活用について理解を深め技能を習得するとともに,情報社会と人との関わりについて理解を深めるようにする。
- 様々な事象を情報とその結び付きとして捉え,問題の発見・解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的に活用する力を養う。
- 情報と情報技術を適切に活用するとともに,情報社会に主体的に参画する態度 を養う。
情報Ⅰの目標は、コンピュータを使ったコミュニケーションの方法を学ぶことやデータ解析・問題解決能力を育てることだといえます。情報に関する常識やITC機器の有効活用法を学ぶ科目だといえるでしょう。こうした能力は、文系・理系を問わず必要となります。
大学入学共通テストの出題内容
情報Ⅰが、情報化社会を生きる私たちに必要な教養を伝える科目だというのはある程度理解できました。しかし、その内容が大学入学共通テストにどのように反映されるかについては、わからない部分があります。ここからは、大学入試センターが公表した試作問題に基づき、試験の出題内容を見ていきます。
情報に関するリテラシーを重視
1つ目のポイントが情報リテラシーに関する問題が出題されていることです。情報リテラシーとは、情報を十分に使いこなせる能力のことです。情報リテラシーは、情報を読み取って活用する能力と情報を使いこなす能力の2つにわけられます。
試作問題の第1問では、インターネット上のサービスや情報の真偽に関する問題が出題されました。難易度は高くありませんが、インターネットを使ううえでの一般常識が問われています。
情報社会を生きるために必要な、通信データの意味や論理回路の演算処理、情報デザインなど情報に関する基礎的な知識も出題されています。
問題解決を意識した出題
2つ目のポイントは問題解決を意識した出題が見られることです。模擬店1日目のデータをもとに、2日目に状況を改善するためにどうするかといったことをテーマとして出題されました。
手元にあるデータを活用しながら、問題解決を図るため思考力が問われます。まさに、情報ならではの問題といえるでしょう。
マーク形式でプログラミングやコードも出題
3つ目のポイントはプログラミングやコードの問題も出題されていることです。第二問の前半では二次元コードについて出題されました。二次元コードと特許権に関する問題やコードの作成、二次元コードの規則性などについての知識を問う問題となっています。
第三問ではプログラミングに関する問題が出題されました。プログラミングにおける変数処理やアルゴリズムの理解などを問う問題です。関数の使い方についても出題されていますので、プログラミングに関する基礎知識全般を問う問題だといえます。
情報通信機器と人の関わりについて出題
4つ目のポイントはスマートフォンをはじめとする情報通信機器と人の関わりについて出題されました。
スマートフォンやパソコンの使用時間と学業の時間の関係を示すデータから正しい仮説を選ばせる問題や使用時間と学業のかかわりについて分析する問題などが出題されています。データから正確に情報を読み取る能力が問われたといってもよいでしょう。
各大学の実施状況
情報Ⅰは2025年の大学入学共通テストから受験科目に加わります。大手予備校河合塾が大学公表資料などからまとめた実施状況は以下のとおりです。
【国公立大学】
必須:96%
選択:3%
【公立大学】
必須:45%
選択:39%
配点については各大学で対応が大きく分かれています。難関10大学と通称される国公立トップクラスの大学で見ると、北海道大学が点数化しないことを公表しています。東北大学や名古屋大学は低めの配点、京都大・神戸大・九州大は学部ごとで配点比率がことなります。
参考:河合塾
私立大学でも情報Ⅰを科目として取り入れる動きが見られますが、入試要項が出てくるまで不透明な情勢です。志望する大学について定期的に調べ、「情報Ⅰ」を課すかどうかチェックしておくとよいでしょう。
「情報Ⅰ」の配点
国公立大学の大半が、大学入学共通テストの必須科目として「情報Ⅰ」を課すことが明らかになりました。実際の配点はどうなのでしょうか。今回は広島大学、広島市立大学、福山市立大学を例に、配点状況を確認します。
広島大学の場合
広島大学では共通テストの1科目として情報Ⅰが課されています。学部ごとで異なりますが、原則、配点は100点で他の教科・科目と比べて特別少ないわけではありません。1つの科目としてしっかり勉強しなければ、合否に大きな影響を与えるでしょう。
出典:広島大学
広島市立大学の場合
広島市立大学でも、広島大学と同様に共通試験の1科目として採用されています。配点は100点から200点で、広島大学よりも情報のウェイトが大きくなっています。情報学部であれば、数学200点、理科200点、英語200点と同等に情報200点が配点されています。接戦となった時、情報の点数が大きな影響力を持つでしょう。
出典:広島市立大学
福山市立大学の場合
福山市立大学では受験科目として採用されていますが、選択科目として扱われています。教育学部前期試験では、国語・数学・外国語は必修ですが、地歴公民、理科、情報は得点の高い2科目を合否判定に用いるとしています。
こういった配点の場合は、受験の戦略によってどのくらい情報Ⅰに力を入れるか考える余地が生まれます。福山市立大学を第一志望としているのであれば、無理に情報Ⅰの勉強をしなくても大丈夫です。
しかし、志望校変更などで情報の配点が大きい大学を受験する可能性もありますので、早急な判断はリスクが伴うでしょう。
出典:福山市立大学
模擬試験に反映されるのはいつ?
大手予備校の情報Ⅰ対応は既に始まっています。河合塾と河合塾マナビスは、2023年11月12日(日)に高1・2年生向けに「大学入学共通テスト トライアル」を実施します。参加費無料で自宅受験方式で開催します。
河合塾が実施する全統模試への反映は2024年1月下旬に実施が予定されている「全統共通テスト高2模試」からです。
ベネッセが主催する進研模試についても、2024年2月実施予定の「大学入学共通テスト模試高2生2月」から新指導要領の内容が反映される予定です。
代々木ゼミナール(以下、代ゼミ)は、2023年8月にスキルアップAI社と協力して情報Ⅰの模擬試験の問題作成を進めていることを明らかにしました。2024年度「第1回大学入学共通テストプレ」から出題する予定です。
配点や扱いは各大学が出す「要項」で最終決定
2023年11月段階で出されている情報はあくまで予定ですので、仮の情報と考えてよいでしょう。特に、2025年のように学習指導要領が大きく変更された年は、科目・配点などに変化がみられることが多いです。
現在公表されていない大学についても、順次公表されますので、定期的に各大学のHPをチェックする必要があります。
最新情報をチェックするときは、過去の情報をうのみにせず、各大学で公表している最新の入学者選抜要項を見て科目や配点を確認しましょう。
「情報Ⅰ」は早めに対策するのがおすすめ!
情報Ⅰは新しい科目ですが、徐々に内容が明らかになっています。配点比率は大学によって異なりますが、国公立大学のほぼすべてで受験科目となっていることからも、早めに対策した方がよいでしょう。
個別指導のグランアシストでは、高校1・2年生を対象とした「情報AIドリル」講座をスタートさせました。プログラミングやデータの活用、情報を活用した社会問題の解決、情報通信ネットワークなど、大学入試センターが公表した試作問題に出題された内容を学習できます。
わからない部分についての質問は、オンラインで対応します。平日18:00~21:00であればリアルタイムに返事がきますので、非常に便利です。苦手分野の演習を集中的に行うこともできます。
まとめ:情報Ⅰは入試本番前に仕上げてしまおう
今回は2025年から実施される情報Ⅰの内容や各大学の動向についてまとめました。もともと、新しい学習指導要領が施行される年は出題傾向が変化しやすいため、用心しなければなりません。
他科目の出題動向にも注意しなければならないことを考えると、受験学年の前に情報Ⅰは仕上げておきたいところです。
早めの情報Ⅰ対策を考えているなら、個別指導グランアシストの「情報AIドリル」がおすすめです。自学自習でき、わからない部分をオンラインで質問できるため、早い段階から情報Ⅰの対策が可能です。
詳しい内容を知りたい方は、個別指導のグランアシストまでお問合せください。