大学入試といえば、入試当日試験で合否が決まる一般入試が一般的です。多くの人がイメージする入試のイメージは一般入試のことだといってもよいでしょう。
近年、入試の形式が多様化しています。従来行われてきた一般入試や学校推薦に加えて、総合型選抜を導入する大学が増えています。総合型選抜とは、どのような選抜方式なのでしょうか。今回は大学入試の仕組みを把握しつつ、総合型選抜の特徴について解説します。
大学入試の仕組み
2020年度からスタートした大学入試改革により、大学試験の形が大きく変化しました。変化の内容を整理します。
大学入学共通テスト
それまで実施されていた「大学入試センター試験」は「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」へと名前が変わりました。受験科目の仕組みや出題形式はほとんど変わりません。マーク形式であることも踏襲しています。
最も大きな変更点は「情報Ⅰ」が加わったことです。情報Ⅰの取り扱いは各大学でかなり異なっています。国公立大学のほとんどで必修科目として取り扱っています。配点や取り扱いは各大学の要項で確認してください。
一般選抜
従来、一般入試と呼ばれていたものは一般選抜とよばれます。学科試験や実技の点数によって合否が決まります。出題形式はマーク式、記述式など大学によって様々です。国公立大学の二次試験や難関私立大学は記述対策が必要となります。
学校推薦型選抜
従来の推薦入試のことです。高校の推薦を受けることで出願可能となる入試です。大学が指定した高校のみから出願できる「指定校制」と条件を満たせばどの高校からでも出願できる「公募制」の2種類があります。
指定校制は私立大学で主に行われており、高校の信頼を前提としているため、校内選考を突破できれば合格できる可能性が高いといえます。一方、公募制は確実に合格できるわけではないので理解しておきましょう。
総合型選抜
総合型選抜は、エントリーシートなどの提出書類や面接試験、小論文試験、プレゼンテーションなど多角的に受験生の能力を見極めて合否を出す入試方式です。他の入試よりも、明確な「学びへの意識」が問われます。詳しい内容は、この後、解説します。
総合型選抜とは
総合型選抜はさまざまな角度から受験生の意欲・能力を測る入試です。主なパターンは3つあります。
● 論文重視のパターン
● 面接重視のパターン
● 実技重視のパターン
国公立大学や難関大学で多く見られるのが論文重視のパターンです。小論文やレポート、長文の志望理由書などを書かせ、その内容に基づいて面接します。場合によっては、口頭試問討論が課されることもあります。
面接重視パターンは私立大学でよく見られ、複数回の面接を通じて相互理解をはかります。学力よりも人物や意欲に重きを置く傾向があるため、自己アピールが非常に重要です。
実技重視パターンは、模擬授業や実験、セミナーなどへの出席を通じて内容や態度を評価するものです。
大学が総合型選抜を導入する理由
大学が総合型選抜を導入する理由は以下の2点です。
● 学力試験で測れない能力を知りたい
● 受験生の本気度を知りたい
学力試験(ペーパーテスト)は、客観的に受験生の学力を測れるという点で現在でも有効な選抜方法です。しかし、受験生の思考能力やコミュニケーション能力をはかるにはあまり適した方法ではありません。
総合型選抜では、小論文や面接、自己推薦文などの提出を通じて、受験生の人柄や学力以外の能力を測り、合否を判定します。
受験生の本気度を知るのも総合型選抜の目的です。各大学はアドミッション・ポリシーをだしています。アドミッション・ポリシーとは、大学の受け入れ方針のことで、簡単にいえば「こんな学生に来てほしい」という大学側の意思表示です。
総合型選抜では、アドミッション・ポリシーを前提として選抜試験を行います。その際重視されるのは、どれだけ本気で、その大学に入りたいかということです。アドミッション・ポリシーの内容にふさわしく、本気度が高い受験生は、総合型選抜で一目置かれる存在になるでしょう。
総合型選抜とAO入試の違い
総合型選抜とAO入試の違いを知るには、AO入試の内容を知らなければなりません。AO入試のAOとは、「アドミッション・オフィス(入学管理局)」のことです。出願してきた学生がアドミッション・ポリシーに合致しているかで合否を判定する入試です。
基本的には以下の特徴を持っています。
● 公募制
● 知識・技能を過度に重視しない
● 大学教育を受けるために必要な基礎学力を有している
基礎学力を測る方法としては、各大学が独自で実施する試験やセンター試験、資格や検定の成績、高校の平均評価などがあります。
総合型選抜もAO入試と同じく、学力以外の能力を重視しています。しかし、AO入試ほど学力以外の要素を重視していません。学力は二の次といった雰囲気があったAO入試と比べ、総合型選抜は学力も含めて総合的に合否を決める入試形式だといってよいでしょう。
そのため、総合型選抜であっても共通テストの受験が求められるケースがあります。一般入試と同様に、しっかり勉強しなければなりません。また、高校の成績も重要ですので、総合型選抜を考えている人は、1年生の頃から学校の定期テストで点数を取る必要があります。
総合型選抜と学校推薦型入試の違い
推薦型入試は、高校が大学に推薦することで受験できる入試形式です。推薦型入試は指定校制と公募制に分けられます。
指定校制は大学側から特定の高校に割り振られた枠に、高校側が推薦して受験する形式です。A高校がもっているB大学の指定校枠が3人で、希望者が5人いる場合、校内選考が実施されます。校内選考を通過すると、よほどのことがない限り合格できます。
大学側は高校を信用して枠を設けていますので、高校との関係を大事にする意味でも合格させることが多いからです。
公募制は特に人数指定がありません。指定校制よりも緩やかですので、受験生本人が希望し、高校時代の成績に大きな問題がなければ受験可能です。その場合、大学が出している条件を満たしていることが絶対条件です。平均評定〇点以上という基準が出されれば、その基準未満の人は受験できません。
総合型選抜は、アドミッション・ポリシーに合致している生徒で、一定の学力平均があれば、高校の推薦がなくても受験できます。
総合型選抜の特徴
総合型選抜がアドミッション・ポリシーを重視する入試であることや、推薦入試と異なるものであることがわかりました。ここからは、総合型選抜独自の特徴を2つ取り上げます。
試験期間が長い
1つ目の特徴は試験期間が長いことです。総合型選抜の出願受付は9月から始まります。そこから、面接や書類審査、小論文審査など複数回行われます。プレゼンテーションや大学の講義のレポート提出を課す大学もあります。
何度も試験を行うことが多いため、付け焼刃の志望動機では、合格はおぼつきません。過去の出題内容などを事前に調べ、徹底的に対策しなければなりません。その意味で、受験生の負担はかなり大きい入試形式だといえます。
面接や小論文を含むため判定を出しにくい
2つ目の特徴は面接や小論文を含むため、判定を出しにくい点です。一般入試や共通テストを利用した入試の場合、模擬試験の点数などからだいだいの合否確率を割り出すことができます。
しかし、総合型入試はさまざまな要素が合否に絡みますので、合否判定を出すのが困難です。極端な話、合格発表まで合否を見通せないといってもよいでしょう。
面接・小論文対策は個別指導が最適
総合型選抜対策で重要なのは面接対策や小論文対策です。基本的な受け答えや服装は最低条件にすぎません。総合型選抜では、自分がアドミッション・ポリシーに適した人物であることを徹底的にアピールしなければなりません。
それと同時に、志望動機をブラッシュアップさせる必要もあります。答えを丸暗記するのではなく、自分の中にある要素の中から、アドミッション・ポリシーと合致する部分をみつけ、志望動機と整合性を持たせなければなりません。
小論文の場合、文章の型を身につけるだけではなく、添削指導を受ける必要があります。小論文で重要なのは一貫した論理性です。相手(採点者)を納得させられるだけの論理と具体例を文章化する必要があります。
面接や小論文の指導は、受験する大学や受験生の性格によっても異なります。そのため、一斉指導よりも個別指導の方がはるかに向いています。一人ひとり、オーダーメイドで対策しなければならないからです。
グランアシストは福山市で総合型選抜に対応できる個別指導塾
面接にせよ、小論文にせよ、こうした内容を一人で勉強するのは困難です。学校で対応してくれるのであれば、それに越したことはありません。しかし、学校には多数の受験生がいるため、全ての受験生まで手が回らない可能性があります。
グランアシストは福山市内で総合型選抜に対応できる個別指導塾です。先ほども述べたとおり、総合型選抜の対策は、個別指導が適しています。生徒一人ひとりの志望校や目標、性格に合わせた対応ができるからです。
総合型選抜は、どの入試形式よりも早くスタートします。平均評定も関わってきますので、できるだけ早く、グランアシストにお問合せください。
まとめ
今回は総合型選抜について解説しました。以前のAO入試では、学力不足が指摘されていましたが、変更後の総合型選抜は学力を含めて多角的に評価する入試形式となりました。
幅広い内容に対応しなければならない入試ですが、中でも面接や小論文の対策が大変です。入試のスタートが早いことも踏まえ、できるだけ早く対策をスタートさせた方がよいでしょう。